迷路の掌中


 左に曲がってすぐに、次の曲がり角があった。道は分かれていない、一本道だ。道に沿って、もう一度左に曲がる。曲がったら、ほんの数歩先に、再び曲がり角があった。分かれ道はない。左に曲がるだけ。
 嫌な予感がする、けれども道は一本道だ。更に左に曲がる。すぐ先にあるのは、左に曲がる一本道。分かれ道は、どこにもなかった。おかしい。こんな道は、今まで無かった。無かった? 無かったのか? 本当に? 自分の記憶もよくわからなくなってきた。
 だけど、この道はどうしようもなく嫌な感じがする。
 心を奮い立たせて、後ろを振り返って、目の前にあった分かれ道を、左へ進んだ。

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